SDGsからみた日本

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称。

その読み方というと、エス・ディー・ジーズとなります。

 

2016年から2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標です。

17のゴール、169のターゲットから構成され、2015年の国連サミットで採択されました。その目的は、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現。

2020年版世界のSDGsランキングでは日本は17位でした。

 

2030年までに達成すべき17の目標

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目標①(貧困)

あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。

2015年10月に世界銀行が貧困の基準を1日1.9ドル以下の収入と設定し、およそ7億3,600万人が生活しているそうです。世界人口の約10%にあたります。

これは世界的な問題ではありますが、日本でも所得格差が広がっていて、コロナ渦でさらに格差が進行し、15%以上の人が相対的貧困層にあたると言われていています。

 

 

目標②(飢餓)

飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を推進する。

飢餓については地域差が大きいようで、特に南アジア地域とサハラ以南のアフリカ地域での飢餓状態率が高くなっているようです。

日本においては、貧困との関連性が強いと思うのですが、今後の社会の変化によってはセーフティーネットが必要と考えられます。

 

 

目標③(保健)

あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する。

妊産婦や新生児の死亡率を減らすことや、伝染病や感染症への対処、道路交通事故による死傷者の半減など、幅広いターゲットが設定されています。

今最大の課題であるコロナへの対処もこれにあたるでしょう。また、日本では交通事故による死傷者は年間3,000人を超えていて、減少傾向にあるもののさらなる対策が求められます。

 

 

目標④(教育)

すべての人に包括的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する。

男女の区別なく、すべての人に平等に教育の機会が提供されることが目標とされています。

日本の教育の提供機会は世界的にみると高いと思われていますが、学力低下が指摘されていたり、収入格差による教育レベルの開きが問題となっています。

 

 

目標⑤(ジェンダー

ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う。

主に女性に対する差別をなくす目標と言えます。

人身売買や性的搾取から政治・経済における社会進出まで広い範囲での女性の地位向上が求められています。

日本でも女性の社会進出やDVなど、解決していかなければならない問題が存在しています。

 

 

目標⑥(水・衛星)

すべての人々の水と衛星の利用可能性と持続可能な管理を確保する。

世界のすべての人が安全な水を確保できる環境の構築が目標となります。

日本では当たり前に水を利用していますが、衛生的な水を確保できている国や地域は少ないようです。

しかし、水道管の老朽化が進んでいる自治体が多いとの報道もあり、私たちの生活にも水へのアクセスに対する意識が必要になってきています。

 

                           

目標⑦(エネルギー)

すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する。

環境に負荷がかからないエネルギーを安価にアクセス可能な社会にするための目標です。

日本では、脱原発の流れから火力発電の割合が増加したようですが、太陽光などのクリーンエネルギーの開発・導入が求められます。

 

 

目標⑧(経済成長と雇用)

包括的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を推進する。

ザックリ言うと、若者や障害者を含むすべての男女の雇用機会の拡大と安心・安全な労働環境の提供が目標となります。

日本の現状では、コロナ禍での失業率の増加や最低賃金上昇などが課題と言えます。

 

 

目標⑨(インフラ、産業化、イノベーション

強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。

世界に目を向けるとインフラが整備されている地域はそれほど多くなく、生活におけるライフラインでさえ確保できていない場合もあります。インフラを整備して、産業基盤を作ることを目標としています。

日本では、インフラ整備は進んでいると考えられますが、コロナ禍で露呈したデジタル化の遅れなど、改善していかなければいけない問題も存在しています。

 

 

目標⑩(不平等)

各国内及び各国間不平等を是正する。

国家間や個人レベルでの不平等を解消することが目標。

日本でも富裕層が有利な経済システムにより、所得格差が広がっていることから、教育機会や経済活動への影響がみられます。

 

 

目標⑪(持続可能な都市)

包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する。

すべての人が安全で安価な住居で暮らし、安全な交通機関・公共スペースを利用できるまちづくりを目標にしています。また、気候変動などによる災害のリスク管理を行い、安全な暮らしの実現を行います。

日本では東京への一極集中による住宅価格があたるかもしれません。また近年のこれまでにはない災害への対応が求められるのではないでしょうか。

 

 

目標⑫(持続可能な生産と消費)

持続可能な生産消費形態を確保する。

モノの消費量が増えるとともにその廃棄量が拡大しています。再生利用や再利用により廃棄物の大幅削減することを目標としています。

日本でも食品ロス問題が注目され、様々な取り組みが始まっています。しかし、経済合理性が優先されて将来的な生産と消費へのビジョンがあるようには見えません。企業を中心とした経済とのバランスがとれた取り組みが必要と言える問題ではないでしょうか。

 

 

目標⑬(気候変動)

気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。

気候変動による災害に対する適応力を強化し、適応していきながら、影響を軽減していくことを目標としています。

近年大規模災害が増加していることは気候変動によるものと考えてもよいのではないでしょうか。年々規模の大きい災害を経験している日本人にとってはとても身近な問題であると思えます。しかし、コロナの影響もあり、気候変動への意識が低くなっているのも事実ではないでしょうか。

 

 

目標⑭(海洋資源

持続可能な開発のために、海洋・海洋資源保全し、持続可能な形で利用する。

海と海の生態系を陸上活動に由来する汚染から守り、海洋酸性化の影響に対する対策をとることが目標。

プラスティックゴミ投棄の問題から一般の方々にも認知されてきた問題だと言えます。

日本は海の幸の食文化が定着していることからも、とても身近に感じて実践できる課題ではないでしょうか。

 

 

目標⑮(陸上資源)

陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する。

森林減少の阻止、劣化した土地や森林の回復、砂漠化への対処を行うことで、生物の多様性を守ることを目標としています。

陸地の7割が森林である日本では、自然への関心は高いと思われますが、継続的な取り組みが必要とされています。

 

 

目標⑯(平和)

持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。

人が生きていくうえで最も大切な命を守ることが目標といえる。暴力による死亡率を大幅に減少させるだけでなく、子供への虐待等の撲滅、違法な武器取引の減少なども含まれます。

これは途上国、先進国関係なく問題となっているのではないでしょうか。世界の中でも豊かな暮らしを送っている日本でも、虐待のニュースは頻繁に目にします。また、日本においては暴力による死亡率よりも自殺率の減少に目を向けるべきでしょう。

 

 

目標⑰(実施手段)

持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。

持続可能な世界を実現させるための、各国の連携・パートナーシップ強化が目標。

現在世界が分断されていると言われていますが、一国だけが豊かさを手に入れることは不可能なエコシステムが構築されていて、協力関係が国を強化してくのではないでしょうか。

 

 

コロナで世界が分断されている中、もう一度見直すことが必要なSDGs。

 コロナの影響で気候変動などへの関心が低くなっていることは仕方ないことかもしれませんが、長い目で見ると人々の命に係わる大切な事柄なので、少しでも意識をもっていられるように生きていきたいですね。